髙野さんが語る職場での安心感ややりがいは、周囲の理解と支えがあってこそ。では、受け入れ側のDX推進部では、どのような思いで髙野さんを迎え入れたのでしょうか。続いて、島村部長と桐生グループ長にお話を伺いました。

インタビュイープロフィール
DX推進部 部長 島村 賢治氏
DX推進部 業務サポートグループ長 桐生 奈緒氏
DX推進部での障がい者雇用は初めてだったそうですが、受け入れの背景を教えてください。
島村氏:部署の人員的には不足を感じていました。ただ、システムを担当する扱う部署なので、誰でもいいというわけではなく、一定の専門性が求められます。髙野さんは前職でもIT関連の業務に携わっていたと伺っていたので、「いい方が来てくださったな」と感じました。
障がい者雇用の受け入れは初めてとのことですが、不安や戸惑いはありましたか?
島村氏:正直なところ、今まで障がいのある方と同じ部署で働いた経験がなかったので、「うまく受け入れられるだろうか」という不安はありました。ただ、受け入れること自体にネガティブな気持ちはありませんでした。働く場を通じて社会復帰を支援できるのであれば、できる限りのサポートをしたいという気持ちでした。
桐生氏:私は2月に着任したのですが、その時にはすでに髙野さんがいらっしゃっていて、自然に馴染んでいる様子でした。初対面の印象も違和感なく、特に不安を感じることはありませんでした。「そういう方が配属されているんだな」という、自然な受け止め方でした。
髙野さんとのコミュニケーションで意識されていることはありますか?
島村氏:特別な秘訣があるわけではありませんが、意識していることは3つあります。
1つ目は、自然体で接すること。
2つ目は、話をしっかり聞くこと。
3つ目は、伝えるべきことはきちんと伝えることです。
特に「聞くこと」は大切にしていて、定期的に1on1の時間を設けて、業務のことや気になることを話せる場をつくっています。障がい者としてではなく、一人の社会人として接することを心がけています。

そのような姿勢は、受け入れにあたって意識されたことなのでしょうか?
島村氏:そうですね。受け入れにあたって改めて考えた部分もありますが、基本的には「障がいがあるから」と特別扱いするのではなく、一人の社会人として接することを心がけています。変に気を遣いすぎると、相手も気を遣ってしまいます。だからこそ、自然体で接することが大切だと感じています。
もちろん、話を聞くことや、間違っていることをきちんと伝えることは必要です。そうした姿勢が、今回の受け入れを通じて改めて大切だと気づかされました。
髙野さんは社内外で人脈を広げる努力もされているそうですね。
島村氏:はい。社内の他部署や外部ベンダーの方とも積極的にコミュニケーションを取ろうとされています。部の懇親会にも参加してくれていて、そうした場でも自然に関係性を築いています。特別な対応をしているわけではなく、髙野さん自身が前向きに関わろうとしている姿勢が、何よりの秘訣だと思います。
受け入れ後に困ったことや気をつけていることはありますか?
島村氏:困ったというよりは、髙野さんがアウトプットをどんどん出してくれるので、新しい業務の話になると「髙野さんにお願いしよう」という声が自然と出てくることがあります。その分、キャパオーバーにならないように、仕事の配分には気をつけています。
桐生氏:髙野さんは「やります」と言ってくれるタイプなので、こちらも任せすぎないように注意しています。本人の意欲を尊重しつつ、どこまで任せるかのバランスが難しいところですね。
髙野さんに期待していることを教えてください。
島村氏:入社当初はまず環境に慣れてもらうことを優先してもらいましたが、今ではすっかり戦力として活躍しています。もともと能力の高い方なので、充実感を持って働ければ、自然と仕事の幅も広がり、モチベーションも上がっていくと思います。そうした好循環が生まれることを期待していますし、せっかくご縁があって入社していただいたので、できるだけ長く働いていただけると嬉しいです。

最後に、他部署や他社に向けてメッセージがあればお願いします。
島村氏:障がいがあること自体は、本人の責任ではありません。生まれつきの方もいれば、途中で精神的な障がいを患うようになった方もいます。でも、誰もが社会に貢献したいという気持ちを持っていると思います。
実際に受け入れるとなると不安もあるかもしれませんが、コミュニケーションをしっかり取れば、アウトプットも出してくれるし、戦力にもなります。お互いにとってWin-Winの関係が築けると思います。
桐生氏:私自身、髙野さんのITの知見にリスペクトを持っています。先月の面談でも「できることを増やしたいから勉強したい」と話されていて、学ぶ意欲が高い方です。専門用語もわかりやすく言い換えてくれるので、コミュニケーションもスムーズです。得意なことは髙野さんにお願いし、苦手なことはこちらでサポートする。そんな関係性が築けていると思います。
現場での自然なコミュニケーションや、業務への前向きな姿勢が印象的だった髙野さんの受け入れ。こうした取り組みを支えているのが、JALカードの人事部門です。最後に、障がい者雇用の方針や体制について、総合人財戦略部の皆さんに伺いました。

インタビュイープロフィール
総合人財戦略部 ヒューマンリソース総括マネジャー 松尾 奈見子氏
アシスタントマネジャー 田中 菜摘子氏
主任 萩尾 彩乃氏
JALカードにおける障がい者雇用の状況について教えてください。
田中氏:2025年3月末時点で、JALカードの従業員数は271名。そのうち、2025年8月時点で障害のある方は9名在籍しており、障害者雇用率は3.3%となっています。
どのような部門で受け入れをされているのでしょうか?
田中氏:障がいのある方のご希望や、これまでのご経験・スキルを踏まえ、「適材適所」で配属を行っています。現在はお客さま対応を行うコンタクトセンターの支援部門、マーケティング部門、DX推進部や総合人財戦略部などの間接部門など様々なセクションで受け入れをしています。
それぞれの方が、自分の強みを活かせる環境で働いています。
どういった想いから「適材適所」という方針を取られているのでしょうか?
松尾氏:募集時には特定の部署での採用を打ち出すこともありますが、面談を通じてご本人の経験や得意分野を伺い、会社として配慮できる部分は柔軟に対応しています。
長く働いていただくためには、無理なく本人の能力を発揮できる環境が重要です。そうした考えから、障がい者雇用においても「適材適所」を基本方針としています。

髙野さんの配属は、どのように決まったのでしょうか?
田中氏:髙野さんは、ITの経験はあるものの、IT部門に進むかどうか悩まれていました。面談を通じて、スキルや配慮が必要な点を総合的に判断し、ITの経験を活かせるDX推進部への配属が決まりました。
外部とのやり取りが苦手というお話もありましたが、業務内容とのバランスを見て、活躍できる環境を整えました。
配属先との調整はどのように行われるのでしょうか?
田中氏:一次面接は総合人財戦略部が担当し、面談の中で適した部署を検討します。その後、候補となった部署に受入れの相談をさせていただきます。
DX推進部では障がい者雇用の受け入れが初めてでしたが、抵抗感や拒否感はなく、スムーズに受け入れていただきました。会社全体として、様々な部署で障がい者雇用を進めているため、特に問題はありませんでした。

入社後のフォロー体制について教えてください。
萩尾氏:半年に一度人事担当との定期面談を実施し、所属部署での面談に加えて、困ったことがあれば総合人財戦略部の担当者にいつでも相談できる体制を整えています。
髙野さんの場合は、月に一度の所属での面談に加え、個別の相談にも対応しています。チャットなどを活用しながら、日常的なコミュニケーションも行っています。
FITIMEとの連携について、どのように感じていますか?
田中氏:FITIMEの支援員は、障がいのある方の気持ちに寄り添いながら支援されている印象があります。就労に向けた準備だけでなく、「ここからがスタート」というマインドセットを一緒につくってくださる、非常に意義のある存在だと感じています。
また、障がいのある方とバディのような関係性を築いている点も素晴らしく、安心して連携できる支援機関だと思っています。

今後の採用に向けて、活躍する人財の特徴や求めることを教えてください。
松尾氏:部署によってはチームワークが求められる業務もあれば、黙々と集中して取り組む業務もあります。コミュニケーションが苦手な方でも、マッチする環境があると思います。
障がい者雇用に限らず、チャレンジ精神を持ち、自らも学び、挑戦していける方が活躍できると考えています。
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